日本の動物保護のいま — 殺処分の現状と私たちにできること | 和心村ガイド
日本で「保護猫」「保護犬」という言葉を聞く機会が増えました。テレビやSNSで保護動物の話題を目にすることも多くなりましたが、現実はまだ厳しい状況にあります。この記事では、日本の動物保護の現状と、私たち一人ひとりにできることについて考えます。
殺処分の現状 — 数字で見る日本の動物福祉
環境省の最新統計(2023年度)によると、日本全国で殺処分された犬猫の数は年間9,017頭。内訳は犬2,118頭、猫6,899頭です。
この数字はピーク時(2004年度:約39万頭)から劇的に減少しています。譲渡活動の広がり、TNR(後述)の普及、自治体の取り組みが実を結んだ結果です。しかし、年間9,000頭以上の命が失われているという現実は、まだ「解決した」とは言えない段階です。
保護動物の仕組み — 行政から譲渡まで
日本の動物保護は大きく3つのルートで行われています。
- 行政(動物愛護センター) — 飼い主が飼えなくなった動物や、野良として収容された動物が持ち込まれる。一定期間の後、引き取り手がなければ殺処分の対象になる。
- 民間保護団体 — 行政から引き出した動物を一時保護し、新しい飼い主を探す。医療ケアやリハビリも行う。
- 個人ボランティア — TNR活動や一時預かり(フォスター)など、草の根の活動で動物を救う。
TNRとは?
TNRは「Trap(捕獲)・Neuter(不妊手術)・Return(元の場所に戻す)」の略。野良猫の数を人道的に管理する方法として、世界中で採用されています。捕獲して不妊手術を施し、元の場所に戻すことで、新たな子猫が生まれるのを防ぎます。手術済みの猫は耳先をV字にカット(さくらねこ)しているため、一目で判別できます。
私たちにできること
① 保護動物を迎える
ペットショップで買う代わりに、保護猫・保護犬の譲渡会に参加する。自治体の動物愛護センターや、民間保護団体が定期的に開催しています。
② TNR活動を支援する
地域の TNR 団体への寄付やボランティア参加。手術費用は1匹あたり5,000〜15,000円程度で、寄付が大きな助けになります。
③ 保護猫カフェ・保護猫宿に行く
保護猫カフェでの飲食代や、保護猫と泊まれる宿の宿泊費は、動物の医療費やケア費用に充てられます。楽しみながら支援ができる、最も身近な方法のひとつです。
④ 和心村に泊まる — 泊まるだけで支援になる
千葉県富津市の和心村では、保護猫16匹、犬2匹、ヤギ2頭が暮らしています。宿泊費の一部は動物たちの医療費や食費に直接充てられます。猫たちと一緒に過ごし、癒されながら、その存在自体が動物保護を支える。泊まることがそのまま「支援」になる、新しいかたちの動物保護です。
殺処分ゼロに向けて
「殺処分ゼロ」を達成した自治体も増えてきていますが、それは「引き取り手がゼロ」ではなく、「殺さない」という選択をした結果です。すべての命を救うためには、社会全体での意識変化が必要です。
まずは知ること。そして、自分にできることから始めること。この記事がその一歩になれば幸いです。
よくある質問
保護猫を飼いたいのですが、どこで探せますか?
お住まいの地域の動物愛護センター、民間保護団体の譲渡会、または保護猫カフェで出会えます。「ペットのおうち」「ハグー」などのマッチングサイトもあります。
和心村の猫は譲渡してもらえますか?
和心村の猫たちは施設で終生飼育されています。譲渡は行っておりませんが、宿泊を通じて保護猫との暮らしを体験し、その後ご自身で保護猫を迎えるきっかけにしていただければ嬉しいです。
殺処分の数は今後も減っていきますか?
過去20年間で97%以上減少しており、減少傾向は続いています。ただし高齢者の飼育放棄や多頭飼育崩壊など新たな課題も出ており、ゼロ達成には社会全体の取り組みが必要です。